よく管理された苔庭では、ホソバオキナゴケやオオスギゴケ
ハイゴケなど少数の種類が広い面積を占めています。
同じ傾向は自然界の中でみることができ
例えば針葉樹林ではイワグレゴケやタチハイゴケが
大きな集団を形成していたり、寒帯に広がる混交林では
いけどいけども二種だけが見渡す限り広がります。
イワダレゴケとタチハイゴケ以外にも
コウヤノマンネンゴケは山道沿に広がる群落をつくるなど
多くのコケ植物が集団をつくっています。
有性生殖をおこなわない種類の場合
おそらく日本にあるすべての個体が
同一の下部からできたクローンである可能性があります。
中部地方の唐松林ではテヅカチョウチンゴケという
蘚類の仲間を調査したところ数キロ離れた二カ所で計100の個体が
すべて遺伝的に同じであることがわかりました。
湿地に生えているオオミズゴケはほとんど胞子をつくらないため
クローン集団をつくっている可能性が高く、50m×100mの
オオミズゴケ集団を60箇所調査したところすべてが同一の
個体である結果となりました。
また逆にアカゼニゴケの調査では
数十センチサイズの群落が遺伝的に
複数の個体が混じり合っていることが分かります。
このように、苔の集団ひとつ見ても様々なのです。