公園の木の幹や根元、花壇の植え込みの間
コンクリートの側溝の隙間、歩道橋の階段の端など
都心であっても探せば必ず見つかる苔。
実は「氷河」「海水」「大砂漠の真ん中」以外なら世界中の
どこでも苔は見ることができます。
海中はだめでも蘚類のウシオギボウシゴケや
イソベノオバナゴケなどはしぶきのかかる岩場で
何とか生きている種類もあります。
南極の大地でも、夏の時期に雪が溶けて岩が表れる場所には
数種類のコケ植物がみつかっており、氷点下40℃になる冬の寒さや
ブリザードにも耐えいきています。
ロシア極東地域に広がる針葉樹林の林床も
コケ植物で埋め尽くされています。
熱帯では、標高が高い低いによって状況が異なります。
標高1500~3000mの山岳地帯は、一年を通じて雲霧林といわれる
深い霧と霧雨につつまれており、林床から林冠まで
あらゆる場所が蘚類や苔類で埋め尽くされており「蘚苔林」
とも呼ばれています。
「蘚苔林」こそがこの地球上で最も苔が存在感を示す場所といえるでしょう。
熱帯低地の広大な森は何層にも重なって発達した林冠のため
林床は薄暗い状態のため、ほどんどのコケ植物は生えてきません。
また、アマゾン州域のように雨期 大規模な氾濫が起こる環境では
小さなコケ植物は泥をかぶって光合成ができなくなり
ほとんど生えることはなく「コケ砂漠」となるのです。
日本で一番標高の高い富士山頂上、ヒマラヤの高所にもコケは生えています。
さらに、東大寺大仏殿改修時では夏の強烈な日差しで
摂氏50℃は超える屋根の上に生えていたことが報告されています。
低地から高地、酷暑から極寒まで、これほど様々な環境で
生きてゆける植物は他にはないでしょう。