植物のおしべから花粉が親の場所から遠く離れた
場所まで風にのって飛んでゆきます。
コケ植物にとっての花粉の役割を果たすのが胞子です。
コケ植物の胞子は発芽すると原子体と呼ばれる
コケ植物にだけみられる器官がつくられ
この原子体は葉緑素を含んでいます。
この原子体に新しい植物体の芽が直接つくられ
芽が育って新たな体ができ発芽した新たな植物体をつくる点で
苔の胞子は高等植物と同じ働きをするのです。
胞子は蒴という特別な入れ物の中につくられ
ひとつの蒴の中につくられる胞子の数は種によって様々で
少ないもので直径数ミリの大形胞子を10個ほど
逆にスギゴケ科の蘚類などは小さな胞子を100万個以上つくるそうです。
一般に胞子は丈夫で長持ちし、乾燥する場所に生える種類は
長持ち傾向が強く、標本にされてから数十年後に発芽した事例もあります。
胞子は散布後すぐに発芽するのではなく
多くは土のなかで休眠し外の条件が整ったとき
一斉に発芽するのです。
胞子には有害な紫外線や極度の乾燥、低温に対し強い抵抗性があり
強い風にのった胞子は時に成層圏まで達することがありますが
この過酷な環境下でも生き残ることができるのです。