苔は胞子で増えるため花を咲かせることはありませんが
胞子を形成・収納している胞子嚢を苔の花と呼ばれることがあります。
胞子嚢が成熟して胞子をまく季節は
苔類や蘚類など種類によって割りとはっきり決まっているようです。
苔類の仲間のほとんどは低地で春先に胞子をまき
蘚類の仲間は苔類よりも複雑になります。
大きくわけると
①晩秋から初春にかけて
②春か初夏にかけて
の2つの胞子散布季節があるようです。
晩秋から初春にかけて胞子を散布する苔
晩秋から初春にかけて胞子を散布するものに
スギゴケの仲間であるコスギゴケがあります。
緑色の植物体の先端に胞子の元になる白っぽいものが
2cmほどの長さに伸び、先端部分が筒状に膨らんで胞子嚢となり
この中で胞子が形成されます。
10月には成熟し11月~12月には胞子をまき初め
2月3月ぐらいまで胞子をまいています。
春から初夏にかけて胞子を散布する苔
春から初夏にかけて胞子をまく種類としては
タマゴケやヒョウタンゴケがあります。
これらの胞子体は12月に少し伸び始め
春には蒴柄が伸び、5月頃には胞子嚢が成熟します。
環境によって異なる苔の胞子散布タイミング
このように苔の種類によって胞子散布の季節が決まっています。
しかし、同じ種類であっても日本の北と南、低地と高地など
環境が変われ胞子散布タイミングも変わってきます。
また、同じ環境の場所でも年によっては
胞子の散布タイミングは異なります。
1つの群落でも胞子嚢の成熟にズレがあり
2~3ヶ月かけて群落のあちこちで胞子をまいています。
どんなものにも例外はありますが
例外としてギンゴケが挙げられ
春と秋の年2回胞子を散布します。
種類によって胞子の散布季節に違いがありますが
どんな意味があるかはまだはっきりとわかっていないみたいです。
<まとめ>
・苔の胞子散布タイミングは種類によってことなる
・同じ苔の種類でも北か南、高度など環境によって胞子散布タイミングにばらつきがる
・同じ環境で生息する苔でも年によっては胞子散布タイミングにばらつきがある
・なぜ苔の胞子散布季節に違いがあるかわかっていない