日本の漢方医学では苔は利用されませんが
漢方の祖である自然界から薬を用いる中国医薬では利用されています。
苔で主に利用されるのは蘚類になります。
「中国での蘚類の利用」という論文には
オオスギゴケが「解熱」「利尿剤」、オオカサゴケが「心臓血管病」
の薬として活用されていることをが紹介されています。
また、「中国薬用胞子植物」には
600種以上の胞子植物が掲載されており
そのうち37種が薬用コケ植物として挙げられています。
上記には外用と内容の両方があり
全般的に「解熱」「解毒」「止血」「鎮痛」に効果があります。
薬用の苔として最も有名なものは、蘚類オオカサゴケで
全草を夏秋に採取して陰干しし、他の薬剤と処方し煎じて活用すると
「高血圧」「冠心症」「神経衰弱」「切り傷」などに効果があるとのこと。
また、どこにでもある蘚類ギンゴケを細かく砕いてガーゼに包み
鼻腔に入れると「鼻道炎」に効くとされています。
苔類からは蘚類以上に薬理作用を持つ様々な物質が分離されていて
「抗腫瘍剤」としての効果があるものも発見されているそうです。
最近では、コケ植物の成分を薬として医学利用する研究をされている
徳島文理大薬学部 浅川義範教授はこれまで1000種類以上で
この中からがん細胞やインフルエンザウィルスを抑制する
天然化合物を見つけたというニュースがありました。
欧州ではすでに利用され中国では研究開発が進んでいるそうです。
浅川教授によると「日本でごく普通に生えている足元のコケには、
実は驚くような成分が含まれている」とのこと。
医学の中で近い将来、人類にとってとても大きな価値を与えてくれるかもしれませんね。
まとめ
・薬用として昔から苔は活用され様々な効果がある
・苔にはインフルエンザやがん細胞に効果を抑制する天然化合物がある