乾燥地の環境に適応する苔

2015-01-29

苔は最も乾燥地に適応した植物群の一つです。
乾燥地の植物といえば、みなさんはサボテンを想像されることでしょう。

サボテンは植物体の表面を硬いロウ物質で覆い葉をトゲ状にすることで
体内の水分をできるだけ外に逃がさないようにしています。

サボテンはわずかでも雨が降ると
横に広くひろげた根で水を少しでも多く吸収し太い茎に蓄え
乾燥が続く間、茎の中に蓄えた水で生き抜こうとします。

このサボテンと比較すると、根を持たず茎も太くない苔は
どうやって乾燥地に適応しているのでしょうか。

苔の植物体の表面は厚いロウ物質で覆われていないので
雨が降り体内に水を吸収しても天気が良くなればすぐに乾いてしまい
晴れた日が続くと苔は乾燥してカラカラの状態になってしまいます。

しかし、苔は植物体がカラカラの状態になると
休眠状態に入り生理的な活生がいっさいなくなります。
この状態で再び水が得られるのを待つのです。

カラカラの状態の植物体に再び水が供給されると
苔は急速に生理的な活性を取り戻します。

苔は体内の水分の消失を防ぐことができない代わりに
カラカラに乾燥しても大丈夫な能力を身につけているのです。

少ない水分で乾燥地に適応

その他、乾燥地の適応方法としては
体内に蓄える水分量を観察することで解ります。

乾燥地に生えている苔と湿地に生えている苔の体内に蓄えることができる水分量を比較すると
乾燥地の苔は湿地の苔と比べ体内に蓄えることができる水分量が「少ない」のです。

一般的な植物の生理的な活性は、細胞が十分に水で満たされ
パンパンに膨らんでいる状態のとき最も高くなり
水が失われて細胞が縮み始めると生理的な活性が低下するため
植物は常に細胞を水で満たし、しっかり膨らんだ状態に維持したいはずですが
苔の場合は矛盾してしているような気がします。

水を貯めないほうが得

多くの維管束植物は、根から水をどんどん吸収し
体内に多くの水を貯めて、細胞が膨らんだ状態を長く維持しようとしますが
苔はどれだけ頑張っても乾燥してしまうので、乾ききった細胞が再び水を吸収して膨らむとき
いかに少ない水で十分に膨らませることができるかが重要になってきます。

乾燥地に生えている苔の細胞は相対的に細胞壁が厚くなっており
細胞全体の容積に比べ水を貯める細胞中身の容積が小さく
細胞を少ない水で満たすことができます。

この厚い細胞壁をもつ細胞を膨らませるためには
強力な圧力が必要になりますが、細胞内を満たす溶液の濃度を
内部の浸透圧を上げることで膨らませる圧力を得ています。

乾燥地に生えている苔は湿地のものに比べ細胞内を満たす溶液濃度が高く浸透圧が高い傾向にあり
少しの水で厚い細胞壁を広げる強力な圧力を得ることができるのです。

苔は植物体に水を貯めないほうが乾燥地に適応することができるのですね。

まとめ

・苔は乾燥しても大丈夫な能力が身についている
・湿地の苔と比較し乾燥地の苔は少ない水で満たすため細胞壁が厚く細胞内容積が小さい
・厚い細胞壁を膨らませるための力を、細胞溶液の濃度を濃くし高い浸透圧で得ている

育成する土壌が決まっている苔

2015-01-27

みなさんは苔が生えているのをイメージした時
どんな環境を想像されますか?

おそらく、庭の片隅の湿った土の上などを想像されているでしょう。

実は、苔が生えるのは土の上だけではなく
岩の上や木の幹にも生えるのです。

しかも、何の上に生えるか種類によってほぼ決まっています。

土の上に生える種類はどんな場所でも土の上に生えてきます。
岩の上に生えているように見えても、岩の上だったりします。

苔を採取するときは他の植物の場合と違い
何の上に生えているかを記録します。

なぜ生える場所が決まっているかは、苔のまだわかっていないことの一つです。

苔が育成するの場所は
「土の上」「岩の上」「樹幹」の3つに別けることができます。
 

 

土の上

土の上ではさまざまケースがあり
赤土など粘土状の土、砂利が多い土、彼はや小枝が混じっている腐葉土など
種類によってどんな土壌に生育するかほぼきまっています。

苔庭でよく使用されるウマスギゴケやオオスギゴケは
水はけの良い土壌が適しています。

コウヤノマンネングサやオオカサゴケは
腐葉土に大群落をつくっていることがよくあります。
 
 
岩の上

岩の上に生育する場合、岩が塩基性か酸性であるかにより
すなわち石灰岩かそうでないかにより、出現する種類が違うことが知られています。

石灰岩に生育する種類は必ず石灰岩に出現し、他の岩に出現するのは稀です。

樹幹の上

樹幹に生育する場合、岩上の場合ほど顕著ではないようです。
ただ、樹種によって樹皮の形状の違いや樹皮が剥がれややすいなど
苔が生育しやすいかそうでないかはあるようです。

なぜ生育する場所が決っているか?

それぞれの苔の種類はなぜ特定のものの上に生育するのでしょう?
各生育条件を比べてみると、水分条件が異なることは簡単に予想できます。

苔の繁殖方法を考えた場合、どこに生育するか決まっているのは不思議です。
苔は胞子や無声がと呼ばれる繁殖器官によって増え
胞子の大きさは直径20ミクロンほどになり、空気中を長時間漂ういます。

胞子がどこに付着するか選んでいるとは考えられません。
無差別に様々なものに付着しているでしょう。

胞子や無声がは適した条件下であれば、どんなものの上であれ発芽するはずですが
苔の種によって生育する場所が決まっているのは、胞子や無性芽から苔の植物体が形成されるまでの過程で
なんらかのドラブルが生じていることが想定できます。

しかし胞子や原糸体の芽はとても小さいため観察が難しいようです。

まとめ
 
・苔が何の上に生えるか種類によってほぼ決まってい
・苔が育成するの場所は「土の上」「岩の上」「樹幹」の3つ
・なぜ生える場所が決まっているかはまだわかっていない

苔の成分にはがん細胞を抑制する効果がある!?

2015-01-22

日本の漢方医学では苔は利用されませんが
漢方の祖である自然界から薬を用いる中国医薬では利用されています。

苔で主に利用されるのは蘚類になります。

「中国での蘚類の利用」という論文には
オオスギゴケが「解熱」「利尿剤」、オオカサゴケが「心臓血管病」
の薬として活用されていることをが紹介されています。

また、「中国薬用胞子植物」には
600種以上の胞子植物が掲載されており
そのうち37種が薬用コケ植物として挙げられています。

上記には外用と内容の両方があり
全般的に「解熱」「解毒」「止血」「鎮痛」に効果があります。

薬用の苔として最も有名なものは、蘚類オオカサゴケで
全草を夏秋に採取して陰干しし、他の薬剤と処方し煎じて活用すると
「高血圧」「冠心症」「神経衰弱」「切り傷」などに効果があるとのこと。

また、どこにでもある蘚類ギンゴケを細かく砕いてガーゼに包み
鼻腔に入れると「鼻道炎」に効くとされています。

苔類からは蘚類以上に薬理作用を持つ様々な物質が分離されていて
「抗腫瘍剤」としての効果があるものも発見されているそうです。


 
 
苔に驚きの成分

最近では、コケ植物の成分を薬として医学利用する研究をされている
徳島文理大薬学部 浅川義範教授はこれまで1000種類以上で
この中からがん細胞やインフルエンザウィルスを抑制する
天然化合物を見つけたというニュースがありました。

欧州ではすでに利用され中国では研究開発が進んでいるそうです。
浅川教授によると「日本でごく普通に生えている足元のコケには、
実は驚くような成分が含まれている」とのこと。

医学の中で近い将来、人類にとってとても大きな価値を与えてくれるかもしれませんね。
 
 
まとめ

・薬用として昔から苔は活用され様々な効果がある
・苔にはインフルエンザやがん細胞に効果を抑制する天然化合物がある

苔はカビが生えにくい

2015-01-06

外で採ってきた苔をしばらくのあいだ生かせておくのであれば
少し湿らせてから家庭用のポリ袋に入れてしっかりと密閉し
室内の暗くは無いけれども直接日光が当たらない場所に保管するのが
一番手間がかからない方法になります。

苔には根っこが無いため栽培するために土は不要で
養分もとりたてて与える必要はなく
これだけで数ヶ月は大丈夫です。

ときどき霧吹きなどで水やりをすることさえ忘れなければ
長期間にわたり生かせておくことができます。
 

 
 

苔の抗菌作用による効果

ただし、これは苔植物だけに使える方法で
他の植物でためしてみると、弱いもので
数日でカビが生えたり腐り初めたりします。

この違いは苔植物が体内で作り出している
「抗菌作用」を持つ物質の働きによるものなのです。

「カビが生えにくい」仕組みが苔植物には備わっているのです。
 
 

苔植物から抽出されるポリフェノールケイの物質
またはメタノールから得られる物質は
グラム陰性菌やグラム陽性菌、病原性カビ類の
成長を阻害する作用のあることが実験で確かめられています。

日本産蘚類80種で調べたところ
そのほとんどに何らかの抗微生物物質が確認された報告もあります。

ただ、苔植物は体が小さいため
成分分析に必要な膨大な量のサンプルを集めることな困難なため
効果があることはわかっていても、どのくらいの量で効き目が生じるか
定量的な研究はまだまだとのことです。
 
 

<まとめ>

・苔は条件を守れば長期間保存ができる
・苔には抗菌作用を持つ物質が備わっている
・抗菌作用物質があるためカビが生えにくい
 
 

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